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設計事務所に依頼すると建築費が高くなる・・・だからハウスメーカーや工務店に頼む・・・そう思っている人も多い。ある建築家は5千万円の予算なら8千万円のプランになるという。これでは、設計事務所とオーナーとの距離は広がるばかりで、雑誌に載せる為の住宅を設計し、オーナーは生活の不便さを我慢する。こんな構図ができあがり、気がつくと独りよがりの住宅が雑誌で踊る。
私はそんな仕事は否定する。私はオーナーの最初の予算をとことん重視する。5千万円なら5千万円の中で、何処まで質の高い満足のいく空間を造るか。そうであって、はじめて設計料が安いと思ってもらえるものと考えている。同じ地形で、たとえ隣同士で家を建てるとしても、そこに住む家族が違えば、全く違う間取りとデザインになる。個性とは、建築家が押しつけるものではなく、そこに住む家族から滲み出てくるものだと思う。使う素材、光の空間、心地よい質感はそれぞれに違い、建築家はオーナーの希望する感覚を引き出し、作り出していく作業の積み重ねだと思う。私の建築は、社寺建築の大工修行から始まる。それは、日本人としての原点をまず吸収しておきたかったからである。32年前に建てた自邸は、その出発点である。
誰もが自分だけの個性ある住宅を求めている。私達と一緒に家を建てることを楽しんでほしい。立地条件や自分のライフスタイルを一緒に創造してほしい。オーナーのリクエストを我が儘とはいわない。私はオーナーのすべてに応えられるのが、建築家の腕だと思っている。予算を含めて、自分がこだわった家に住みたい・・・そのスタンスで話し、新しい発想で設計したとき、本物の納得のいく、調和ある空間が生まれてくる。





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